ワシかてスキニー履きたいわい・ET

・ワシかてスキニー履きたいわい

 書いたかどうか覚えてないけど、セカンドストリートの系列店に勤務している。分かりやすく言えば、衣料品と、靴、鞄とか服飾品だけを専門に扱うセカンドストリートみたいな。あれ、なんか前にも書いた気がするな。まぁいいや。

 

  セカンドストリートに行ったことがある人は分かると思うけど、セカンドストリートの店員はだいたいアパレル店員ヅラしている。ただのリユースショップ店員のくせに。家電を取り扱っている店の店員ですらそんな雰囲気を漂わせていたりする。お洒落して中古の家電扱ってんじゃないよ。軍手して頭にタオル巻いて洗濯機のボディを磨いていて欲しい。そんなアパレル店員雰囲気は、服だけを扱うセカンドストリートになるとより顕著だ。いちど河原町四条のセカンドストリートに行ってみて欲しい。あそこの店員はすごい。寺町通りに並ぶ古着屋の店員と同じ雰囲気で店を闊歩している。おれの予想でいうと、そういう奴らは大規模な古着屋(ジャム、シカゴ、フラミンゴなど)の採用に落ち、「ここならいけるやろ!」とセカンドストリートでの勤務をしている可能性が高い。そういった雰囲気を、うちのバイト先も多少は持ってしまっている。だって衣料と服飾だけを扱う店だから。パートの主婦の人1人はそれが顕著で、この前の飲み会ではうちの店のことを「アパレル」と呼んでいた。恥ずかしくて仕方なかった。だってリユースショップだから。セカンドストリートだから。さらに、「この前バイトの面接に来ていた子の服装が普通だった、服好きじゃないやろ!って思ったわ」と店長と話しているのを聞いたことがある。ちなみに面接に来ていたその子の服装は「白T、ワークパンツ、黒のオールスター」だったらしい。いや、たしかに普通やけどさぁ。おれもそんな格好でアパレル店員ヅラして働くこともあるのでクビを切られないか怯えている。2月に勤務を始めてから、上に着るものはちょこちょこ変われど、ズボンは基本的にダボダボの黒のチノパンを履き通していた。POPEYEで「ズボンのシルエットがコロコロ変わるのはナンセンス」的な文を読んでから毒されている。だけどさすがに飽きてきて、この前スキニーほどではないけど、わりと細身のズボンを履いて出勤した。すると社員から「え!?唐田くんらしくない格好してるやん!」とか言われてしまった。うるせぇ!セカンドストリート店員に自分のスタイルもクソもあるかよ!とか思いながらも「っへへ、自分でも気持ち悪いっすわっ、へへっ」とかヘラヘラした返答をしてしまった。これからずっと極太ズボンの着用を義務付けられてしまった瞬間。勝手におれのスタイルを決めないでほしい。おれだってたまにはスキニー履きたいわい。

 

 

 

・ET

 ETが好きだ。映画は見たことがない。おれが好きなのは、かつてユニバーサル・スタジオ・ジャパンに存在したETをモチーフにしたアトラクションのことだ。正直、アトラクションの内容はあんまり覚えていない。順番を待つときに並ぶ泉みたいな場所がやたら尿意を刺激してくることはハッキリと覚えているけれど。乗り物としては動きが穏やかで、あまり面白味のないものだった気がする。本当に内容を覚えていない。ただ、ETの何が素晴らしかったか。それはアトラクションの最後の最後、ETに名前を呼ばれるシーンである。ここが最高に好きだった。本名を呼ばれたときはおいおい!ET!イントネーション全然ちゃうぞ!可愛いやっちゃなぁ!とか思ったり、ふざけて全然関係ない名前を呼ばせてみたりしていた。壊れたみたいにひたすら人の名前を呼び続けるETが愛おしくて堪らなかった。そんなETも今はいなくなってしまった。調べてみると2009年、おれが小学校3年生のときに終わっていたらしい。11年も前だ。と、いうことは、少なくとも、今の小学生はETに名前を呼んでもらった経験がないということだ。可哀想に。青春を知らない子どもたち。おれたちは運動会の振替休日や創立記念日で休みになった平日に何度もETに名前を呼んでもらったのに、彼らはETの跡地にできたスペースライドで見知らぬ人と目線が合う気まずさしか体験したことがないのか。そう思うととても悲しくなってしまう。いくら子供に失礼なことをされようとも「あぁ、でも彼らはETに名前を呼んでもらった経験がないんだなぁ、可哀想になぁ」なんて許してしまいそうである。