2020-5/16

 いったいどこからどこまでが現実なんだろうか。

 

 最近は好きな女優に関する夢をよく見る。この前見た飯豊まりえにタバコをあげた夢はかなり素晴らしかった。毎日見たい。今日は14時からのバイトに向けていつも通りの時間に家を出た。家を出て5分ほどで傘がぶっ壊れてしまった。特に風も吹いていなかったのに、おれのバイト先に爆走するその勢いにやられてしまった。普通に傘が無いと駄目なレベルで雨が降っていたから、涙か雨か、顔を濡らしながら再び爆走で家へ。壊れた傘を玄関に放り投げて、新たな傘(ウェポン)を携えて死地(バイト先)へ…。再々爆走を始めた矢先、おれと社会をつなぐ大事なツールである器具、携帯電話を壊れた傘と共に玄関へ放り投げてしまっていたことに気づいた。再々再爆走で家に戻ったとしても14時からの労働に間に合わないことが濃厚だったから、尊い犠牲...と振り返らずに死地へ...。再び頬を濡らすのは涙か雨か...。というかクロスバイクで傘さし運転するの普通に危ないから辞めたほうがいい。いつもは守る、腰の曲がったおばあちゃんでも無視するようなしょぼい信号を3つほど無視してひたすらデスロードを走る。警察に見つかったらおしまいだった。でも自転車を漕ぐおれの鬼の形相をみて誰が止められようか?あの瞬間、おれはたしかに風になっていた。交通違反を3つほど侵した風が人に戻ったのはバイト先の時計が13時58分を指していたのを見た時だった。間に合った...。事務所に昇る階段で同じ時間からシフトに入っていた先輩とすれ違い、‘‘急げ、遅刻するぞ‘‘と笑いながら言われて今度はバズーになった気分で、1分で出勤準備をして朝礼に参加。ビバ私服出勤。背中を濡らしていたのは汗か、雨か。休憩時間が被った社員にそんなおれの冒険譚をちょっと盛ったりしながら話していると、どういう流れか今日のバイト終わりにみんなでラーメンを食いに行くことに。本当にどういう流れ?正直おれは携帯を忘れていたから社会に取り残された気分になっていて、早く帰る気満々だったんだけど今のおれが実際に接する唯一の社会であるバイトの付き合いを無碍にするわけにもいかず‘‘是非行きたいです!!!‘‘と体育会的なノリで返した。愛され後輩キャラでやってるつもり。最近は後輩増えてきて辛い。無能なのばれちゃうから。20時少し過ぎにバイトを終えて社員一人を含めた5人でラーメン屋へ。あれ?自粛は?特に面白い話もできずに店を出た。次がなさそうで怖い。風になったり、バズーになったり、話を持ったりラーメンを啜ったりしてたからずっと暑くて白のロンTをバイトからずっとまくり上げてたけれど、ラーメン屋を出たタイミングで袖を戻して、今日カッパ感覚で上に着ていた赤いナイロンジャケットの色が左袖に移っていることに気づいた。今これ言ったらウケるかなぁとか思ってる間に解散していたから泣きながら帰った。夢であってくれ。

 

 おれが9時間ぶりくらいに社会にアクセスするといろいろな情報が飛び込んできた。ボビーオロゴンが容疑者になっていたり、おれの好きな芸人が亡くなっていたり、昨日ゼミの後輩にした‘‘オンライン新歓します、ぜひ参加を!!‘‘というラインが全員から無視を決め込まれていたりした。社会、無情すぎる。いったいどこからどこまでが現実なんだろう。おれが高校のときバイトしていたスーパーの、仕事ができないことで、その存在をバイトに全く関係のない友人にまで知らしめていたおじさんがそのスーパーでまだ働いていた!というその友人からのラインは現実なら悲しすぎるし、おれの好きな、今は活動を休止してしまったバンドのサブスク解禁が夢なら悲しすぎる。もう2度とネタを見ることのできないあのコンビや、無情に赤く染まった左袖、玄関の壊れた傘。既読7で宙ぶらりんのライン。壊れた自転車を担いだ2日後に襲ってきた右二の腕の筋肉痛。2回り下の学生にいつまでもバカにされる青果部のアルバイトのおじさん。全部夢であってほしい。iPhoneから流れるあのバンドの曲、キーボードを打つのですらちょっと痛む右腕が逃げんな!!と言ってきているような。もしかしたら夢で、やたらリアルな夢だった...とこれから起きるのか、やっぱりこれは現実で、夢で飯豊まりえに会えることを期待して眠るのか...。ボビーオロゴンだけは夢でも現実でもどっちでもいいな。