2020-5/23

  最近は昨日の日記を翌日の夜に書く、ということが続いている。この調子だとそろそろやめてしまいそうだけど、意地でも書き続ける。誰のなんのための意地なのかは分からないけれど、社会に出るまでは絶対に続けてみせる。田んぼに囲まれた一本道をボロボロのトラクターが走る姿を見守る気持ちでいてほしい。あれ自分関係なくてもめちゃくちゃイライラするよな。ごめんな。

 

 バイト終わりにその日ラストまで入っていた社員と店長以外のバイト4人で洋食屋に行った。バイト先を出る際に出入り口に置かれた消毒液が精子の匂いする!と4人ではしゃいでいて中学生みたいでかなり楽しかった。全員20歳を超えてると思ったら怖い。洋食屋で、ここのチキンカツはめちゃくちゃうまい、とか話しながら各々の料理が来るのを待っていた。そうしたら先輩の1人が、テラスハウスの居住者が自ら命を絶ったことを知って露骨に口数が減り、それを不思議に思ったおれたちが何かあったのか聞いて、そのことを知ったおれたちも沈んだ気持ちで待つことになった。20分前までは精子精子だとはしゃいでいたのに…。おれはチキン南蛮を頼んだ。チキンカツが美味い、と聞く前に頼んでしまったからちょっと悔しかった。花…。と思いながら噛み締めて食べた。美味かったな。食事中の会話はあんまり覚えていない。社員の運転が荒い、ということ以外は。

 

 その日の朝、ゼミの先輩からシャワー貸してくれ、とラインが来ていた。わりとチャランポランな先輩だから、そんなに動じずにOKを出した。よくできた後輩だよ、まったく。22時前に先輩が到着して、おれが「どうしたんですか?」と聞くと「話せば長くなる…」とちょっとカッコつけて言ってきたからとりあえず風呂場に行かせた。

 

「でどうしたんですか?」

「財布落として…」

「ガス代払えてないんですか?」

「…まぁガス代もそうなんだけど…うちコインシャワーで…風呂入らなくなっちゃって…」

 

 想定の斜め上の理由だった。今時風呂がない家に住んでる人いるんだ…。情けないけど、こんなところがあるからこの先輩のことが大好きだ。絶対社会でやっていけない、と思いきや就活は颯爽と内定を2社から貰っていて、そのくせに4年での卒業がほとんど絶望的であるという、全く訳のわからない状況に置かれているこの先輩。いったいどうするつもりなんだろう。怖くて聞けていない。シャワーを浴びて、お酒を1缶飲んで台風のように去っていった。駅に向かう先輩を見ながらなんともいえない悲しさを感じた…。