2019-9/4

  最近は長袖を早く着れる気温にならないかなぁ、ともっぱら考えている。9月だというのに半袖を着ていることも、夏休みだといってダラダラ過ごしていることにもなんかむず痒いような感覚になる。かといってこの気温の中で長袖を着るバイタリティもないまま、深夜3時まで起きて翌13時に起きるような生活を楽しんでいる。学校が再開する頃には生活リズムを直して、長袖を着られているのだろうか。平安に生きた人たちがそうだったように、季節にはいつまでも敏感でいたい。  

 

 だらだら書いてしまったけれど、平均的なクズ大学生のおれはきたるべき単位発表の日に怯えながらも呑気に野菜を詰める夏休みを過ごしている。お盆が終わって、大阪から帰ってからは殆ど毎日アルバイトをしていたし、休みの日もゼミで集まったり、ライブに行ったりしていて、何も予定を入れてない日、というものがなかった。9月の3日間も、8月から続いた5連勤を華麗に終わらして(連勤最終日の昨日はこっぴどく怒られた。疲れていたから許してほしい。)完全フリーの一日を手にすることができた。その社員からのお叱りに耐えれたのも、9月のシフトを確認したときから決めていた楽しみがあったからだ。今日はいつもより早く起きて、朝ご飯をしっかりと食べて、赤いベルクロのワンスター(現在は生産していない。なかなかのレアコンバースである)を履き、いざ神戸元町に。

 

 神戸元町。ここの高架下、いわゆる「モトコー」と呼ばれている場所が結構好きで、三宮に用事があるときは訪れるようにしていた。古着屋や、古いレコードショップ、海外のバンドTシャツを売っている店などが軒を連ねている。それに、ここを語るうえで外せないのは‘‘コンバースの聖地‘‘柿本商店である。おれが今日レアなコンバースを履いてきたのにはここに大いに関係している。簡単に言うと店の人や客にマウントを取るためである。珍しいコンバースを履くことで優越感に浸ろうとしていたのである。嫌な男。コンバース大好きショップで、コンバース大好きマンを演じる滑稽な男。相当恥ずかしいことをしていたけれど、それが功を奏したのか店のおじいさんやおばあさんからおすすめのちょい珍コンバースを聞き出すことができた。コンバースの聖地で普通のABCマートで買えるコンバースを買う一番恥ずかしいことを回避。満足。おいしいスパイスカレーも食べられて、古着も買えた。大満足。行きの車内で読んだ吉田修一の「最後の息子」も素晴らしく面白く、これは素晴らしい日になったぞ、と思える阪急三宮駅までの帰り道だった。

 

 帰りに揚々と乗り込んだ阪急電車の車内アナウンスで京都線が運転見合わせ中であることが発覚。どうやら京都は相当な雷雨が降ったらしく、落雷の影響により信号が止まってしまったらしい。そんなことあるんや。復旧の見通しはつかず、ということだったので桂駅で降り、京都駅までバスで行くことに。仕方ないけれど、バス、超満員。後ろのおっさん、激臭。バス、大揺れ。おれ、爆酔い。少し前までの幸福感はどこへやら、最悪な気分のまま京都駅から地下鉄へ。運良く座ることができたから、目をつむり、体調の回復に努める。帰ったら風呂に入って、鳥を焼いて濃いハイボールを作って飲もう。そう決めた。北山駅に着き、ドアが開くと少し雨の匂いがした。